町会長にきいてみた!

本事業では各学校・幼稚園の通学区域別に「ランPAT 2.0」のおすすめランニングルートを紹介しています。
防犯に加えて「令和時代の夜回り火の用心」として、まちを知ることは大切です。
各通学区域を構成する町会長さんに、まちのことをきいてみました。

取材・文:NPO法人センター・オブ・ジ・アーツ 企画制作部

 

月島地域 第二弾

佃島小学校

通学区域:佃一丁目・佃二丁目・月島一丁目の一部
該当町会:
〈佃連合町会〉佃一丁目町会・佃二丁目町会
〈月島連合町会〉月島一之部西町会・月島二之部町会

お話を伺った町会長さん


写真上 左より
佃連合町会:輿石 智宏 会長(佃三丁目町会)
佃一丁目町会:福山 照一 会長
佃二丁目町会:田野 孝章 会長
写真下 左より
佃二丁目町会:小川 建司 副会長
月島連合町会:宮田 和夫 会長(月島二之部町会)
月島一之部西町会:中川 隆 会長

 

オリンピック・パラリンピックシーズンを経てもなお、なかなか落ち着きをみせないコロナ禍。そんなご時世だからこそ必要とされる「子どもたちへの見守り」の意識。
見守り意識の向上やランニングパトロールの普及、地域コミュニティの振興を目的に、令和3年度もランPAT2.0は継続して活動を展開していきます。

今回の開催エリアは、佃・月島を通学区域とする佃島小学校です。
「佃」といえば、石川島造船所の跡地開発としてタワーマンションが立ち並ぶ佃リバーシティとして有名。
地名から伺えるように佃煮発祥の地として歴史も古く(正確には保存食としての製法は全国にあったそう)、昔から立ち並ぶ民家の情緒と、新しいタワーマンションとが融合した景観には、このエリア特有の表情があります。
そして全国的にも有名な月島「もんじゃストリート」は、遠方からの観光客も多く、休日ともなれば大きな賑わいをみせています。

そのような環境を学び舎とする佃島小学校。
今回は佃島小学校通学区域にある町会の会長さん方をお迎えし、ランニングパトロールの際に注意して見守りが必要な地点の情報や、地域に対する想いを伺ってみました。

タワーマンション麓の佃公園・石川島公園や、民家が面する小道、交通量の多い清澄通りなど、注意すべき点がそれらの箇所ごとの趣で異なることなども、まさにこのエリアならではと感じます。

発展すればするほどに人が増え、まちも整備されていく中での町会長さんが感じている課題は、中央区の他の地域とも共通したものがあります。

現在はコロナ禍の影響により開催が叶わない、本来なら地域をあげて催される行事の数々。
町会の方々もコロナ収束を祈念しつつ、皆で集える行事の再開を切に望んでいらっしゃいます。
ただ、それらを円滑に運営していくためにも、担い手不足という問題を解消せねばなりません。
運営をサポートしてくれる仲間を増やす上でも、新しくお住まいの皆様に先ずは知ってほしい点をお伺いしてみました。

地域愛を育む上で大切なことのひとつに、その地域の歴史を知ることがあります。

先述したように、佃の歴史は古く、さかのぼると始まりは徳川家康の江戸入府となります。
慶長年間(1596-1615)に家康が、摂津国西成郡佃村(現在の大阪市西淀川区佃)の漁民たちを招きました。そして漁民たちが佃島に定着したことによって、彼らが保存食としていた魚を長期に渡って美味しく食べることが出来る佃煮が江戸で流行り、名物となりました。

佃島をはじめ、明治以降に築島(一説では月島の名の由来!)され、整地されていったまち、月島、勝どき、豊海、晴海の氏神となる「住吉神社」は、時を同じくして摂津国佃の住吉の社(現 田蓑神社)の神職が江戸に同行することで佃島を住吉明神の社とし、現在の中央区を代表する神社のひとつとして鎮座しました。

今回の交流会議で、児童の活動圏を広く網羅した注意喚起箇所をご指摘下さった、月島二之部町会会長で月島連合町会会長の宮田会長は、新しくお住まいの皆様にも積極的に住吉神社のお祭りに参加し地域の特色を知ってほしいそうです。

三年に一度の本祭りでは、獅子頭の宮出しや、八角神輿といわれる宮神輿の渡御が行われます。

昔から住民の交流や親交が、地域の振興の礎となっていたことが伺えますね。

そして月島のソウルフードである“もんじゃ”は、東京の下町で明治中期より発展してきた「文字焼き(もんじやき)」が由来で、子どもたちの駄菓子として、小麦粉を溶いたシャバシャバした出汁で鉄板に文字や絵を描いて食べたことが名の由来だそう。
それが大人も子どもも大好きな“もんじゃ”として地域を象徴する名物に育っていくあたり、ここにも歴史と人と人との繋がりが感じられます。

佃連合町会会長で、佃三丁目町会会長でもある輿石会長も、音楽イベントや写真展、書き初め会等、地域の交流の場となる企画をコロナの収束を願いつつ考案されています。

 

佃三丁目町会 盆踊り

また佃二丁目町会でも、1月の新年会や2月の餅つき大会、8月の夏祭りなど、通年開催されていた行事の中止が相次ぐ中、少しでも地域理解を対外的に進めていければと、SNSで地域の情報発信も試みているそうです。

佃二丁目町会 餅つき

佃二丁目町会 夏祭り

町会長さんが揃って仰る今後の課題は、マンションにお住まいの方や、新しくお住まいの皆様とのコミュニケーションの図り方、コミュニティの作り方。
既に取り組まれておられる中、賑やかなまちの様子にその成果も感じるところですが、今後も更に発展していくまちに適応していかねばならないそうです。

佃二丁目町会 パトロール

そこでランPAT2.0が少しでもお役に立てればよいなぁと感じました。

古き良き文化を継承し続けるよう「かわらない」ためには、実は「かわりつづけること」が重要です。
そこをこれからも体現していくであろうこのまち。
お住まいの皆様と皆様との交流により、ますます素晴らしいまちとして発展していくことでしょう。

町会の皆様、佃島小学校PTAの皆様、ありがとうございました!